TOKYO REISM NIGHT Vol.6
イベントレポート

「ソーシャルヒッピー仕事術」
ー自分らしい仕事に出会うー

TOKYO REISM NIGHT Vol.6 の様子1

第6回目の開催となる「TOKYO REISM NIGHT」のテーマは、『「ソーシャルヒッピー仕事術」-自分らしい仕事に出会う-』。昨今、スティーブ・ジョブスをはじめとしたIT業界のトップランナー達に大きな影響を与えただけでなく、食やスキンケアを中心としたオーガニック志向のきっかけを作るなど、様々なムーヴメントにインスピレーションを与えた文化として「ヒッピーカルチャー」に注目が集まっています。当日は、ヒッピーとして世界を旅し、東京で複数の事業をこなす“渋谷区在住ソーシャルヒッピー”鯉谷ヨシヒロさんに自由の先にある「自分らしい仕事」について語っていただきました。

過去や未来を考えないヒッピーの生活

鯉谷さんがヒッピーの生活を始めたのは13年前。元々大学に通っていましたが、特にやりたいこともなく、日本やアジアを旅した後、メキシコに行ったことがきっかけでした。メキシコでのヒッピーとしての生活は、馬30頭で20人、電気ガス水道もない土地で生活。お金は1年半で1万5千円ほどしか使わない、そもそもお金を使う必要がない少数民族のところを転々として生活をしていました。目的地は決めるが、日々の生活が真の目的であり、目的地に行くことが目的ではない。そのようなヒッピーの生き方がとても新鮮だったと鯉谷さんは言います。「太陽と月でしか光源がないんです。太陽の位置で今日何が出来るかを考える。月の満ち欠けでも出来ることが変わります。太陽の位置と月の満ち欠けで生活のリズムが決まると、そのうち過去と未来を考えることをやめ、今しか考えられなくなる。その時、動物も植物も全ての生き物が今しか生きていないのに、人間だけが過去や未来を考えていることに気付きました。最近マインドフルネスという言葉が生まれていますが、まさにその通りで、日付や時間などの暦を取り払って生活するヒッピーの生活は、今を全力で楽しんで生きているんです。」

TOKYO REISM NIGHT Vol.6 の様子2

メキシコで見つけたこれからのコミュニティの在り方

鯉谷さんがヒッピーとして生活するなかで衝撃を受けた出来事の一つに、メキシコで開催されていた「レインボーギャザリング」という集会があります。レインボーギャザリングとは、人里から離れた大自然にヒッピーが集まって1ヶ月間共同生活をするもので、68年のウッドストックから続くリアルヒッピー文化の流れを組むある種の社会実験でした。「そこでは何もない土地で川から水を引いたり、キッチンを作ったり、共同トイレを作ったりするところから生活は始まります。徐々に小さなコミュニティが生まれ、役職や役割分担が生まれる。その様子は、まるで小さな社会が構成されていくプロセスを早送りで見ているようでした。」鯉谷さんは、これこそ、これからのコミュニティの在り方だと言います。「今はSNSで友達の定義が変わった。誰か分からない人でもFacebookで友達になり、いいねで交流を図る。広く浅く友達を作る体系は、とてもヒッピー的です。ヒッピーも口コミでネットワークを作ってコミュニティを作ってきましたが、今後は日本でもそのコミュニティの在り方が自然になってくるはずです。」

最先端のライフスタイル

現在、ヒッピーとして暮らしつつ、自給自足に近い形で家を建てて村を作っているコミュニティが世界に3万カ所くらいあると言われています。そんな中、鯉谷さんは、2013年5月にwebサービス「NuMundo Japan」を立ち上げました。エコビレッジを中心に世界500を超えるコミュニティが登録されており、そこでの宿泊・体験プログラムが利用できるサービスで、日本では28カ所が登録されています。このサービス誕生の背景に「昨今、仕事だけではなく、暮らしに重視したコミュニティが増えてきています。日本で代表的なのが、熊本にあるエコビレッジ『サイハテ村』。敷地は1万坪で、住人は30人ほど。リーダーやルールもなく日々訪れる旅行者とひとつの家族のように暮らしています。土のうの家に住む住人の半分は映像クリエイターなど仕事を持っていますが、平均5万円くらいで自由な暮らしをしています。テクノロジーを使用しつつも自然の中でお金や時間に縛られずに生活する、そんなヒッピーのようなライフスタイルを気軽に一般の人に体験してもらうプラットフォームを作りたかったんです。最近の日本では20年くらいで1Kのアパートが増えており、ご近所付き合いもないので、日本人は孤独になっているといわれる一方、コワーキングスペースやシェアハウスの増加を鑑みると、今、人と人がつながる場所が必要とされています。これまでは会社が帰属する場所でしたが、最近はネットのみで仕事が完結し、オフィスの必要性がなくなると必然的に帰属する場所がなくなる。それであれば田舎でヒッピーのようにコミュニティを持って生活するのは最先端であり、理にかなっているのではないでしょうか。」と、暮らしに重視したコミュニティを例に最先端のライフスタイルを説明しました。

TOKYO REISM NIGHT Vol.6 の様子4

1歩先の流れを読む考え方

ソーシャルヒッピーと言われ、ヒッピーでありながら時代の流れに沿った生活を続ける鯉谷さん。Airbnbをビジネスにすることや、仮想通貨にも精通しているということで、人よりも1歩先に着手するビジネスとしての発想について問われると、一人の老人との出会いについて語りました。「これまで色々な国に行きましたが、ラオスのバンビエンでの出会いはとても印象的でした。川のほとりで休んでいると、盲目のおじいさんに声をかけられました。その人は『目の前で魚を釣っているあの網を日本に持って行ったら、ビジネスになる』など、生活の中にあるビジネス講座をしてくれました。ふとその町の経済の構造を考えると、凄く狭いコミュニティの中で、それぞれが獲った魚を売ったり、鳥を捕まえて売ったり、村同士で商売をしていたんです。つまり、何かを取って何かを交換するという“誰かのために何かをする”という経済の循環に気付きました。その構造は、東京でも同じだと思います。よく、どうやってそのようなお金を稼ぐ情報を得るのか、と聞かれますが、僕は情報を得るというより、”人々がどこに価値を感じているのか”、その基本構造を理解することが大切だと思っています。のどが渇いたときにすぐそこに自動販売機を置くことで人はお金を払います。足りていないものが常にどこかにあります。みんなが欲しがるものにいち早く気付いて、実践していくことが人の考える価値に繋がり、ビジネスになるのでないでしょうか。」これには参加者も納得の様子で、身近にあるビジネスチャンスについて様々な意見が飛び交いました。

TOKYO REISM NIGHT Vol.6 の様子3

20年後、週2日しか働かない時代が来る

さらに、参加者よりこれから先の日本の社会はどうなっていくのか、という質問が投げかけられました。鯉谷さんは、「昔は生活のためにお金を稼がなくてはいけない、そのために会社に属していました。しかし、仕事のやり方も働き方も変わり、価値の在り方も変われば、生活するために会社で働くという視点がどんどん減っていきます。極論仲間が1万人いて、その中で経済が回れば会社は必要ありません。20年後社会はみんな働いていない、もしくは週2くらいしか働かなくてもいい時代が来るかもしれないと思います。そんな時、自分が人のために何が出来るかを考えられる人は人生を豊かに出来るのではないでしょうか。」

人生のキーワードは「明日死ぬとしたら・・」

参加者から、この生活に不安を感じたことがないのか問われると、鯉谷さんは、「この生き方に不安はあります。だけど、やりたくないことをやるくらいだったら生きていても仕方がないと思うんです。やりたいことが常にあるから、暇はありません。」と力強く語りました。「毎日考えていることは、もし明日死ぬとしたら今日何をするか、ということです。同じ質問をすると、大体の人が家族といたい、美味しいお酒を飲みたい、など自由に答えると思います。その時質問を変えて、『では1カ月で死にますとしたら何をしますか?』『1年で死ぬとしたら何をしますか?』など期間を延ばすと、少しずつ仕事やお金を度外視した回答が返ってきます。僕はそれを実行したいと思っています。この1年があと40・50回したら人生は終わりです。それであれば世間の目とか周りの目を気にしている時間などないのです。明日死ぬとしたらの連続で生きていくことを僕はヒッピーの生活から学びましたし、そんな風に仲間と生きていきたいと思っています。」イベントの最後には、鯉谷さんから参加者に向けて、ソーシャルヒッピーとして自身の経験からフラットなコミュニティの中で見つけたこの言葉を贈られ、会は和やかに終了しました。

TOKYO REISM NIGHT Vol.6 の様子5

講義後には、メキシコでヒッピーとして生活していた鯉谷さんにちなみ、ケサディーヤやナチョスなど、この日限定のメキシカン料理が振る舞われました。鯉谷さんも懇親会に加わり、当時実際に食べていたメキシカン料理の話なども交え、会場全体で意見交換が行われました。

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