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お腹も心も満たしてくれる「マーケット」へ行こう!

小林夕子 
オーストラリア・メルボルン在住会社員。アメリカと日本で幼少期を過ごした後、日本では映像関連会社に勤務。現在はメルボルンで通訳・翻訳業務に従事している。余暇の楽しみは映画館、美術館、図書館、マーケット巡り。

早いもので、今年も残り1ヵ月を切りましたが、皆さんいかがお過ごしですか?南半球に位置するここオーストラリア・メルボルンは、早くも30°Cを超える夏日になることも多くなってきましたが、暑さが安定してくるのはクリスマス頃…もうしばらくの辛抱です。

例年、夏限定でフリンダース・ストリート駅に近い川沿いにオープンする水上バー、「アーボリー・アフロート」(Arbory Afloat)。先日、30°C超えた夏日の終業後に急いで駆けつけましたがすでにお客さんで満杯。沈むのでは?というくらい賑わっていました。

オーストラリアのクリスマスは一家団欒が一般的で、雰囲気としては日本のお正月に良く似ています。個人的にもうひとつ似ているなぁと思うのが、買い物客でごった返す年末の上野・アメ横と、クリスマス直前のメルボルンのマーケット。

そこで今回は、クリスマスに向けて賑わいを見せ始めている「メルボルンの台所」、マーケットについてお届けしたいと思います。

マーケットはその土地を映す鏡!?

200以上の国と地域をバックグラウンドに持った人々が暮らす、メルボルンの生活を支えるマーケットとはどんなところなのでしょうか?

ざっくりとした特徴としては、メルボルン中心街(CBD)を起点に、郊外に出れば出るほど地元の特産品を販売する小規模ファーマーズ・マーケットや農家直営の販売店がやはり多くなる印象です。

一方で、CBD近郊は人口が密集しているため、中~大規模なマーケットが目立ってきます。また、移民の割合が高くなることから、マーケットもその地域に住む人を反映した作りになっているのが最大の魅力です。

ということで、CBD近郊に集中する移民の分布図(各地域に住む移民の出生地No.1の国を記した地図)に、主要マーケットをマッピングしてみました。

中心の白い点線の枠内がCBD。この地図に記されていない郊外は、イギリスまたはニュージーランド出身の移民がほとんどです(地図の出典:SBSニュース)。

この地図に記した主要マーケット6つの各特徴は、以下のような感じです。

1. クイーン・ビクトリア・マーケット(Queen Victoria Market)
通称QVM。国際色豊かな生鮮食品、日用雑貨、デリなど600店舗以上を構える、観光客も地元客も魅了するマーケット。

2. サウス・メルボルン・マーケット(South Melbourne Market)
QVMの縮小版ともいえる一方で、ローカル色が強いマーケット。アジア系・ヨーロッパ系の食材に加え、飲食店やインディペンデントのデザイナー/アーティストによる雑貨も充実。

3. プラーン・マーケット(Prahran Market)
高級住宅街のサウス・ヤラに位置するため、全般的に値段はお高め。食通の心をくすぐる専門店(マッシュルームやイモ類に特化した店など)が多い。

4. ボックス・ヒル・マーケット(Box Hill Market)
メルボルン最大のチャイナ・タウン、ボックス・ヒル。マーケット…というか、実際は駅に直結したショッピング・センター内にある生鮮食品売り場。中華系の食材全般が安く手に入るとあって、アジア系以外の人種はほとんど見かけない。

5. フッツクレー・マーケット(Footscray Market)
ベトナムを中心に、アジア系の食材が安く手に入るマーケット。週末ごとに行列ができるフォーのお店など、ベトナムのストリートフードが充実。

6. プレストン・マーケット(Preston Market)
イタリア、ギリシャ系移民の食を支えるマーケット。CBDから車で約30分と少し郊外にあるせいか、全体的にお安めなのが魅力。

次に、CBDから一番近い、クイーン・ビクトリア・マーケットとサウス・メルボルン・マーケットの2つを細かくご紹介しましょう。

南半球最大の青空マーケット、クイーン・ビクトリア・マーケット

CBDの北西に位置するクイーン・ビクトリア・マーケット(QVM)は、メルボルンの街を走るトラムの無料乗車圏内にあるため、観光客にも大人気のスポット。平日・週末問わず買い物客で賑わっています。

ヨーロッパ人がメルボルンに入植してから30年後の1878年にオープンしたQVM。最近初めて世界遺産に登録されている事実を知りました。

早くもクリスマス・ツリーが飾られています。

先日、QVMに数あるハム専門店の中でもイチオシの「ポーリッシュ・デリ」のハムが無性に食べたくなり、お天気も良かったのでお散歩がてらに出掛けてきました。

「ポーリッシュ・デリ」の店員さんは無愛想に見えるのですが、尋ねればいろいろとおすすめを教えてくれます。

お目当てのハムは中央のピスタチオが練り込まれたハムと、この写真にはないのですが、ジュニパー・ベリー(ジンの香りの元)が練り込まれたハム。どうしても名前が覚えられなくて、毎度指差しで注文する私です。

いつもは「ハムを買う」という目的を果たしたらすぐ帰ってしまうのですが、今回は数年ぶりにじっくりQVMを散策することに。ただ、あまりに久しぶりで「こんなに広かったっけ?」とその規模に圧倒されっぱなし…。
とりあえずハム屋があるデリ・セクションを抜けて、生鮮食品の店が軒を連ねるエリアを歩いていると、やたらと大きなスペースを陣取る卵とハチミツの専門店に遭遇。

ヴィクトリア州の産地別に、卵が整然と並べられています。お値段は1ダース8~9豪ドル(600~660円)!スーパーの約倍額と圧倒的に高いのですが、卵が割れていないケースを探し当てる労力を考えたら、割高でもこういった専門店で買ったほうが安心かもしれません。
そう、日本に住んでいる方には信じられないことかもしれませんが、オーストラリアのスーパーでは平気で割れた卵が売られているのです…!

次に視界に飛び込んできたのが、QVM名物のホット・ジャム・ドーナツ屋にできた行列。

1950年からこの場所でホット・ジャム・ドーナッツを売り続ける「アメリカン・ドーナッツ・キッチン」。

脳天を貫くような甘さが売り。

しかし、「今日は甘い物の気分じゃないなぁ」と思いながら通り過ぎ、その先のワイン樽が視界に入った瞬間に速足になる、甘党ではなく酒党の私。覗いてみると、昼から屋外でおいしそうにワインを飲んでいる方々がいらっしゃるじゃないですか。

ワイン・バー「ReWine」は、オーストラリア産ワインを取り扱う店。その場で樽から瓶詰めしたワインを販売してくれます。テーブルもあるので、その場で飲むことも可能。
テイスティングしてみたい誘惑にかられましたが、この日は「休肝日」と決めていたので、次回の楽しみにとっておくことにしました。

そこでワインボトルを購入し、次回空き瓶を持ち込むと割引でリフィルしてくれるという、お財布にも環境にも優しいサービスが売り。

そして帰り際に大好きなスパイス屋さん「ゲヴュルツハウス」(Gewürzhaus)の前を通ったので、クリスマス・ギフトを探しに寄ってみました。

「ゲヴュルツハウス」はスパイスとハーブの専門店。ここで必ず買うのがホット・ワイン(グリュー・ワイン)の元となるスパイスです。

クリスマスの小物も充実していました。お土産やギフトに困ったときに必ず立ち寄るお店のひとつです。

ギフト用にスパイスをいくつか購入して、この日のお買い物は終了!久しぶりに、あまり行くことのないエリアまで足を伸ばしたおかげで新しい発見がありました。
QVMに行き慣れていない私にとっては、食材を買うには少し広すぎるなぁという印象もありますが、観光の際に訪れるなら、週末にはライブ・バンドの演奏などもあって、たっぷり楽しめるスポットだと思います!

地元民に愛されるサウス・メルボルン・マーケット

食材の買い出しにおすすめしたいのが、CBDからトラムで5分の場所にあるサウス・メルボルン・マーケット。QVMと比べて規模は小さいですが、ローカル感が味わえる上、必要な物がギュッと詰まっているので、普段使いにはもってこいのマーケットです。

向かいには大型スーパーがあるため、野菜・肉・魚・デリ系はマーケットで購入し、それ以外はスーパーで購入するなど、使い分けができるのも地元民に愛されている理由かもしれません。

サウス・メルボルン・マーケット外観。週末は車が大渋滞するので、トラムか徒歩がベスト。

ここからはサウス・メルボルン・マーケットをこよなく愛する地元民を勝手に代表して、私の週末の定番コースにお付き合いください。まずは旬の野菜とフルーツが並ぶ八百屋さんから。

 

これから夏を迎えるメルボルンの旬の食材は、ストーン・フルーツ(アプリコット、桃、チェリー)、マンゴー、アボカドなど。

野菜・フルーツを購入したら、次はお肉屋さん「トニーズ・ミート・サプライ」(Tony’s Meat Supply)へ。ここのラム・カツレツは12本で24豪ドル(約1,770円)と少々お値段は張りますが、臭みが少なくて柔らかいのが特徴です。これをマリネにして一晩寝かせ、バーベキューにすると絶品!

オーナーの方と思われるスキンヘッドのおじさんは、声も笑顔も迫力満点。いつも少しだけおまけしてくれます。

次は、お魚を買いに「アプタス・シーフード」(Aptus Seafood)へ。ここはオイスター・バー目当てのお客さんでいつもごった返しており、お店にたどり着くまで人混みを掻き分けて進まなくてはなりません。

買ってその場で食べられるオイスター・バーは観光客にも大人気。隣接するワイン屋さんでグラス・ワインを購入し、飲みながら楽しめるのも牡蠣好きにはたまらないサービス。

数年前までは牡蠣が1個1豪ドル(約80円)だったのですが、今は1.8~2豪ドル(約130~150円)に値上がりしてしまいました…。

最後に立ち寄るのはお気に入りのお花屋さん、「アザリア・フラワーズ」(Azalea Flowers)。自宅用に購入することがほとんどですが、店員さんが手際良く作ってくれるブーケもとってもセンスがいいので、お花を贈るときはいつもここに決めています。

サウス・メルボルン・マーケットにあるほかの花屋より、グリーンを多く仕入れています。

オーストラリアのネイティブ・フラワーや、この時期はクリスマス用のお花の品揃えが充実しているのも気に入っているポイント。ミニ・クリスマス・ツリーを自宅に連れて帰るか本気で悩みましたが、この日はすでに手に荷物がいっぱいだったので、見送ることに…。

サウス・メルボルン・マーケットでの休憩&お土産購入スポット

ここからは、私がサウス・メルボルン・マーケットでの食材の買い出しついでに訪れる、おすすめスポットを紹介します。

買い物に疲れてカフェで休憩したいな、というときは、迷わず「パドレ・コーヒー」(Padre Coffee)へ。コーヒーは濃すぎず飲みやすく、店員さんもとってもフレンドリー。ここのコーヒー豆はお土産にも喜ばれます。

ここでコーヒーをテイクアウトし、その数軒先にあるフランス系のペストリー屋さん「アガト」(Agathé)で甘い物を買って、コーヒーと一緒に楽しむのもアリです。甘党ではない私でさえ、ここの焼き立てチョコ・クロワッサンの香りには抗えず、無心で頬張ってしまうことも。知り合いに遭遇したくないシチュエーションNo.1です。

焼き立てのクロワッサン、チョコ・クロワッサン目当てに、連日行列が絶えません。午後になるとほとんどの商品が売り切れてしまうので、お早めに。

次に、お土産に困ったら、卵専門店の「ベイブス・エッグス」(Babe’s Eggs)へ。お土産に卵…ではなく、ここのエコバッグがかわいくて、お土産に持っていくと喜ばれるんです!
物価が高いメルボルンでは珍しく5豪ドル(約370円)と、リーズナブルなのも嬉しいポイント。

扇風機に隠れて見えづらいのですが、奥の壁に飾られているのがエコバッグ。定期的にデザインも変わります。

ちなみに、サウス・メルボルン・マーケットは2018年にプラスチック袋が廃止されたため、買い物用のバッグを持っていくのを忘れないように!ただ、忘れたとしても、マーケット内にはエコバッグを販売しているお店が多いので、その場で購入しても◎。
お気に入りのエコバッグを探して回るのも、楽しみ方のひとつかもしれません。

私のサウス・メルボルン・マーケットのエコ・バッグ・コレクション。今はデザインが変わっており、いずれも入手不可ですが、新しいデザインもステキですよ。手前のバッグは前述の「ベイブス・エッグス」の物。

また、子供用のお土産におすすめなのが、ご夫婦で経営する子供服と雑貨のセレクト・ショップ「ザ・スーパー・クール」(The Super Cool)。オーストラリア国内外で活躍するインディペンデントのデザイナーによる、ポップでカラフルな商品が揃っており、見ているだけで気分が上がります。

お店の人との心温まるやりとりに魅せられて

メルボルンで生活する上で、切っても切り離せないマーケット。私にとっては、ただ買い物を済ませる場所ではなく、店員さんとの挨拶や何気ないコミュニケーションを楽しむ場所ともいえます。

私が日常的に足を運ぶのはサウス・メルボルン・マーケットなのですが、日本への一時帰国などでしばらく顔を出さないでいると、再訪時に「あれ?最近見かけなかったけど、元気だった?」とショップの店員さんが声をかけてくれたり…ちょっとした出来事かもしれませんが、この距離感と温もりが嬉しいのです。

マーケットの至る所に潜むストリート・アートを探すのも、サウス・メルボルン・マーケットの楽しみ方のひとつ。

今回紹介したスポット:

クイーン・ビクトリア・マーケット Queen Victoria Market
Queen St, Melbourne, Victoria 3000 Australia
https://qvm.com.au

サウス・メルボルン・マーケット South Melbourne Market
Corner of Cecil and Coventry Streets, South Melbourne, Victoria 3205 Australia
https://southmelbournemarket.com.au

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